ヴァレ君登場篇(6巻〜16巻)

 

取り敢えずは、ヴァレ君登場篇ということで、6巻から16巻の間のヴァレ君の名(迷)台詞を記します。
しかし、この頃のヴァレ君の出番は少なく――いや、ケーミの時などのようにナリスの側にはいるのですが、台詞が少ないのです。まあ、当然といえば当然なのかもしれませんが、役柄的にはもう少し出番があってもいいと思うのですが……でもそれ以上にリーナスの出番が少ないからなぁ。(^^;;
多分に漏れがあると思いますので、「こんな名台詞がある」だの「ここが違う」だのというご意見がありましたら、ボードなりメールでなり申し出て下さい。(^^)

 


 


「そ、そんなご無体な! リギア、リギア!」
(本伝第六巻「アルゴスの黒太子」第一話「パロへ」より)


ご存知(?)ヴァレ君初登場時の台詞です。
ヴァレ君の迫真の演技もそうですが、ナリスを老婆に化けさせるというのは中々出来るものではありません。



「これでもおれはちょっとした知恵者で通っていてね。――どうだい、いかにも心配ごとのありそうな顔だよ。それも、ふむ、おれは人相も見るんだ。見てやろうかね――ズバリ、恋の悩みだな。なあ、そうだろう」
(本伝第八巻「クリスタルの陰謀」第三話「クリスタルの陰謀」より)


一見何の変哲もない台詞です。
しかし、ある単語が引っかかりました。
  「おれは人相も見るんだ」
「覇王の道」にてイシュトに対して言った際は単なる法螺かと思ったのですが、本当に人相学もやっていたのかしらん(笑)



「まるで、天上の音楽が地にあらわれたようだろう」
「どうだ。あまりに、惜しい、むごいと思わぬか。――この、地上の神々の都が、たかが蛮族ゴーラのひづめにかけられて汚れてゆくのなど。この輝ける塔の都、それをしろしめす現人神たる聖王家、血を混ぜぬために、嫁に出しても嫁とり、婿とりは決して他国からせぬパロの聖なる青い血に、たかが成り上がりの土民のかしらの、いやしい血を混ぜ込んでしまうのなど、ゆるしがたい、思い上がり、傲慢、僭越と思わぬか。神殺しの汚れた血を、この水晶の王座にまじえようなどとは」
(本伝第八巻「クリスタルの陰謀」第三話「クリスタルの陰謀」より)


私的には、あまりこういう思想は好きではないのですが。
「そんなん誰が決めたんねん。過去において定められたことが、そのまま未来永劫あると思うな!」と架空の国に対して本気になってむっとしてしまう私なので、実はパロという国は好きではなかったりします。それに何というか――思い上がっているという感じがしません? まあ、幸いにして他の国が更に悪い――もしくは同レベルの政治体制なので、こういう世界だと思ってはいますけれど。
(しかし、まあ、よくこんなんでヴァレ君やナリスのファンでいれるものだなぁ(苦笑)<自分)
ところで、私が所持している本伝8巻は初版に近いため「ゴーラ」となっていますが、重版されたものだと「モンゴール」になっているのでしょうか?



「馬鹿云っちゃ困る。おれの主人リーナス卿は、いずれ聖騎士候になり、亡き父上リヤ大臣のあとをとって右大臣におなりだろうが、いまのところはまだただの伯爵にすぎん。同じ伯爵でも、聖騎士のオヴィディウス伯やパリス伯の家はこの倍はあるぜ。聖騎士の家には、礼拝塔をつけるのがならわしだからな」
(本伝第八巻「クリスタルの陰謀」第三話「クリスタルの陰謀」より)


「右大臣」なんて職、ありましたっけ?(^^;;;
いや、それだけです。



「おれたちだって……おれたちこそ、あんたのお転婆姫に、おれたちの美しいナリス様の花嫁となり、神聖な誓いをサリアの塔でかわしたりしてもらってはどうしても困るんだからな。おれは――おれやリーナス様や、ルナン候も、すべてのパロの忠臣たちがずっと夢みてきたのは、われらのクリスタル公と、《真珠》の姉君とがサリアの塔で結ばれ、そしてレムス王子さまを助け、あるいはナリスさまこそがパロの聖王としておれたちに君臨して下さること――ただそれだけだったのだから」
(本伝第八巻「クリスタルの陰謀」第三話「クリスタルの陰謀」より)


パロ国民の本音なんでしょうね、これが。



「もし――恐れ多きことながら、もし、わたくしがクリスタル公アルド・ナリスなれば……」

「もしわたくしが公であれば――レムス殿下が生きておいでとわからぬうちは、決して公女との結婚がえんじますまい。公女をめとることは、自らパロ王の権利をすてること。……しかしもし、王太子ご無事とわかったあかつきには――わたくしであれば、モンゴール公女との結婚をうけ――」

「モンゴール公女との結婚は、公女には、パロの王位をもたらしはいたしませぬ。が……公には、クリスタル公という、臣下ではなく、――モンゴール大公の座を――わたくしが、もし公ならば、レムス殿下の無事を知った上で、モンゴール公女との絆をふかめ……かつは、モンゴール大公のたったひとりの世継ぎ――ミアイルをなきものにと……」

「あの方は、賢い方でございます。そして、一臣下でおられるには、あまりにも、賢すぎる……」

「公の、パロへの忠誠心を疑っているのではございませぬ。どうつかまつりまして――あのかたは、誰よりも、《青い血》の誇りたかいおかた……しかし、それだけに――一生をたんなるクリスタル公としておわるには、あのかたは、あまりにも――」

(おれがナリス様ならば――年下の、しかも気のよわい、凡庸な王をもりたて、国を守って一生をクリスタル公でおわる気にはなれん。……おれがあのひとなら、おれはまずモンゴール公子を暗殺させ、モンゴール公のあとつぎの座をえてあの国を内からのっとるだろう……そしてモンゴールの国力を背景に、ゆるやかにさいごの、そして本当の目的――パロの王座へしのび寄る。おれならそうするとも……ここでただ、モンゴールをたたきつぶしたところで、年端もゆかぬ新王にほめことばのひとつもかけてもらうだけのこと――おれなら、そうするとも)
(本伝第十巻「死の婚礼」第一話「前夜」より)


ナリスの野望(?)の推論です。
ミアイル公子暗殺はナリスが命じたことだということは、魔道師ギルドはともかく、一般のパロ人――ルナンやリーナス辺りは判っていたのでしょうか。



「リーナスさまはたしかにそのとおり――しかし、この私が剣を捧げたのは、孤児だった私をひきとって人としてくださった、なきお父上リヤ卿――そしてその遺児たるリーナス様、ただお二人だけ。……このヴァレリウスにはご心配いりませぬ。私は、リーナス様の動く方へゆくばかりで」
(本伝第十巻「死の婚礼」第一話「前夜」より)


ヴァレ君って、本当にリーナス中心の考えの人だなぁ。
でも、上の台詞と合わせて、さり気な〜くリーナスにナリス暗殺を持ち掛けるヴァレ君の話術は見事です。
魔道師ギルドの手でちゃっちゃと暗殺してしまえば……というわけにはいかなかったのでしょうけれど。



「われわれは、パロをモンゴールに売った裏切者、アルド・ナリスを生かしておけぬ」
「われわれの同志は裏切者のクリスタル公の、暗殺をたくらむ愛国者の一党なのだ、アストリアス子爵」
(本伝第十巻「死の婚礼」第一話「前夜」より)


この場面だけ見ていると、本当にナリス暗殺を企んでいるように見えるのですけれど……。(^^;;;



「むろん、魔道師の塔はパロの魔道士ギルドのきわめて大きな部分をしめている。しかし、なにも、宮廷につかえる魔道士だけが、魔道師じゃないのだ。たとえばおれの師であるオー・タン・フェイはキタイ人で、魔道士の塔とは何のかかわりもない。そういう魔道師もパロにはたくさんいる。全部が全部、パロの聖王家に忠実というわけでもない……そのオー・タン・フェイから、おれも魔術を習ったのだよ。たとえば、ほら……」
(本伝第十巻「死の婚礼」第二話「サリアの日」より)


……何かこの台詞、全体的に嘘っぽい。(^^;
アストリアス相手だから尚の如く。(^^;(^^;



婚礼の衣装をまとっているアムネリスに見とれているアストリアスを見て。
「だめだ、こりゃ」

「大きな声を出すな、あんぽんたん」
(本伝第十巻「死の婚礼」第三話「死の婚礼」より)


何かこの辺りだけギャグしているような気がするの。(^^;
ヴァレ君の迷台詞の一つです。



「かわいそうに、そこをつけこまれて、わるいやつに利用されなければいいが――いや、それどころじゃない」
(本伝第十巻「死の婚礼」第二話「サリアの日」より)

「あばよ、アストリアスくん」
(ヤヌスのお慈悲を――ヤヌスに祈りたまえ、だ。おまえさんみたいなやつは、早くくたばった方がしあわせだよ。生きていたって、どうせあっちでごちん、こっちでごちん、おれのような悪党に利用され、いいようにころがされてどんどん泥にまみれてゆくんだ。ここなら惚れた女を見ながら、しあわせに死んで行けるだろう。その面倒ぐらいは見てやるから安心しな――そのくらいの親切っけだけはこのヴァレリウスにだってもちあわせがあるさ。それに、そうだ、舞台としちゃ、何の不足もありゃしまい)
(さよならだな、かわいそうな、トートに魅入られたアストリアス子爵)
(本伝第十巻「死の婚礼」第三話「死の婚礼」より)


他人事のように言うヴァレ君。
その後、アストリアスは鉄仮面をかぶせられ、マルガの洞窟に閉じ込められたままなのである。
「おれのような悪党に利用され」……未だ利用すらされていない(涙)



(ダルブラの毒のことは、さておくとしよう。誰があれをすりかえたのか、どうせおれにはわかっているのだからな。しかし――しかし、そうだ、どうにも解せぬことがある。アレクサンドロスの申し子といわれたこのおれに、わからぬとは――)
(本伝第十巻「死の婚礼」第三話「死の婚礼」より)


……って、君じゃなかったのかい?
とは、今だから言える台詞ですね。
まあ、正確には「魔道師ギルドが」ですけれど。
何やらこの辺りの記述は推理小説みたいに表現がくねくねしている箇所もあるのですが、状況証拠だけでいけば真っ先に疑われるのがヴァレ君だけですよね。リーナスだと理由がなさ過ぎますし。
しかし「アレクサンドロスの申し子」というのは、ちとずうずうしいんでないかい?(^^;



「二度」
「いや、三度だ。アストリアスの剣を奪われたときと、やつを消そうとしたときと、そしてこんど。――またしても、一秒の差でおれを出しぬきおったな。このヴァレリウスさまを……
おのれ――いや、だが、よくよくおちつき、心をしずめて考えてみなくてはならん。誰だ――誰が、おれに匹敵するほどにすべての手を読み、何手先を見切って、《王(ボッカ)》の駒を、さきへさきへともってゆくのだ? モンゴールに、それほどすぐれた軍師がいたか?
いや、ヴラド大公は自信家だ。やつは、すべての作戦を自分で立てる。それゆえ、モンゴールには、求める心のないところに、求められるものはない道理、すぐれた軍師はあまりおらん。あのガユスか、あれもまったくとるにたらん、ごくありふれた魔道士にすぎん。
となると……」

(これはひとつ、よくよく斎戒沐浴し、知恵の神あるヤーンに祈り、じっくりと考えてみなくてはならぬぞ、ヴァレリウス。誰が、おまえの計略を、おまえのボッカの打ち筋をすべて読んでいるものがいるのだ。モンゴールとは思えぬ。ケイロニア、クム、ユラニアも筋ちがいだ。
では、やはり――しかし、おれには思いあたる、このおれに対等に手を打ちあい、それどころかおれをまんまと何回も出しぬくことさえできるほどの策略をもつ人間とは、ただひとり――)
(しかしその人は……)
(考えるのだ。ヴァレリウス、よーく考えてみろ。そして、何としてもアストリアスの行方をわれていたと知られては――一月後ならいい。いや、三日後でさえもうかまわぬ。しかしいまは――いま、知られては、早すぎる。まだ、パロをとりもどすための軍勢は、じゅうぶんに集まってはおらぬ。考えるのだ、ヴァレリウス――焦るな。よくよく考えるのだ)
(本伝第十巻「死の婚礼」第四話「喪服の花嫁」より)


ここまでくどく言わなくても、ヴァレ君を出し抜いたのは誰なのか容易に想像出来ますって。(^^;;
しかし、この頃からヴァレ君はくどい……。



「べつだん。――しかし、レムスさまは、お気の毒ですねぇ。これじゃ、いかに国王として堂々入城なさっても――しかしそれはたぶん、公がモンゴール軍をいったんしりぞけられてからということになる――まったく影がうすくなってしまいますよ。といって、太陽に輝くのがわるいとは云えない道理、なにもそれは公のせいじゃありませんでしょうが」
「ナリス公の人気は、たいへんなものだという話ですよ、姫」
「そう――しかたないものですわね。民衆というのは」
「どうしてまたそのような。人気とりをいくらしたところで、人気とあつめることはなかなか難しゅうございます。公のようなお方は、めったにありませんな。――幸せなお方ですよ」
「人々は正直ですものね、でももう少しわきまえてさわいでくれればいいのに。――でないと」
「でないと?」
「痛くもない腹をさぐられるわ。ナリスさまは、ご機嫌とりなど、決してなさらないんですけど」
「もちろんです。しかしそれが人にわかるかどうか」
大人には、わかるでしょうよ、もちろん。――そうでない人にもわからせてあげるのが、私たちおそばにいるものの役割でしょう。そうじゃなくて?」
「おっしゃる通りです――リギア姫」
(本伝第十四巻「復讐の女神」第二話「如何なる星の下に(一)」より)


リギアとの対立場面です。
お互いに腹黒いところがあるようですが……この場面だけだと、後でヴァレ君がリギアに恋心を抱くようになるとは到底思えないです。



「公ほど、おん自らすぐれた軍師であらせられるお方に、どうして私如きの参謀が必要なことがございましょうか。私はただ、お手助けさせて頂くだけのしがない陪臣でございますので」
(本伝第十四巻「復讐の女神」第二話「如何なる星の下に(一)」より)


この台詞、本当に謙遜から出た台詞なのでしょうか。(^^;
ヴァレ君は割と卑屈っぽく振る舞う場合が多いですし。
――特にナリスに対しては。(^^;



(しかし、竜虎は必ず闘う――ということわざもあるからな。なまじいま、肩を並べて戦ったこと――互いに、パロとアルゴスにその人ありと知ったことが、のちのちの禍根とならぬかどうかは――まさしく、ヤーンのみぞ知るというものだ。やはり、人間は、凡庸ぐらいの方がよいということもあるな――ことに王位につくものはな。さて、これもふしぎな暗合といえばそれまでだが、アルゴスのスタック王、スカールの兄のスタック王はその性いたって温厚にして凡庸ときき及ぶ。まあ、レムス陛下をどうこういうわけではないが――互いい王太子となり、摂政公でいるうちはよいが、もし万一、スカールがアルゴス王、ナリス公がパロ王、というようなことになったときどうなるかは――ま、おれとしては、忠節なパロ臣民としてただわが祖国とリーナス様が安泰ならばよいいこと、せいぜい、ナリス公に圧倒されぬよう、かげながらレムス陛下に手をかしてさしあげるほかはないな。少なくとも、おれの考えでは、あまり頭のきれる、大胆不敵な人間は、それだけで王位にむかないものだ。王などというものは、凡庸でおっとりしていて、部下に切れる奴がいるのがいちばんよいのさ)
(本伝第十五巻「トーラスの戦い」第二話「疾風怒濤」より)


この台詞から数年――足一本を失い身動き出来ぬナリス、病に倒れ生き長らえているスカール。運命とは何と皮肉なものであろうか。
それはさておき、この頃から既に「凡庸・平凡」論が出ています。



クリスタル公爵曰く――

「ヴァレリウスは大したものだ。みごとにクムをくどきおとして参戦させたな――リーナスの部下にしておくのは惜しいよ」
(本伝第十五巻「トーラスの戦い」第四話「モンゴール最後の日」より)


そして現在――とうとう手駒にしてしまったのね(涙)



(ふむ、ご大層だというものだ。まるで――まるで国王のご登場とでもいったありさまじゃないか。ま、救国の英雄、パロの救世主だ、連中の気持ちもわからんわけじゃない。それに、アムネリスとの婚礼をおしつけられたり、暗殺されたと思わせたり、それが実は生きていたり――それにあの劇的なあらわれかた、手柄の立てかた――もともと人気のたかかったお人だが、ここへきて、国民の人気をあつめるようなことだけは、イヤというほど重なっているからな。さて……これはまあおれの気のまわしすぎというものかもしれないが、しかしこの人気というやつ、これでなかなか――)
(本伝第十六巻「パロへの帰還」第三話「パロへの帰還」より)


実は全然気の回し過ぎではなかったりします。とほほ。



「とんでもありません、リギア姫。私ごときのカボチャ頭では、何がまことで、何がいつわりかさえよくわかりませんので」
(本伝第十六巻「パロへの帰還」第三話「パロへの帰還」より)


カボチャ頭……グイン世界にもカボチャはあったのね。
二人の火花散る対決ムードもグットです。
しかし、この「何がまことで、何がいつわりかさえ――」というのは、勿論ヴァレ君が空々しく言っているのですが、一方のこちらはかなり深刻です。意外なところで対になっている台詞があるものだと思いました。

 

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