ヴァレ君探索篇(74巻)

 

そしてヴァレ君探索篇ということで、74巻のヴァレ君の名(迷)台詞を記します。
74巻分は、ヴァレ君とイェライシャが半分半分といった感じになりましたが、これはまあ、仕方がないということで。しかし、二人共長台詞ですよねぇ。(^^;
多分に漏れがあると思いますので、「こんな名台詞がある」だの「ここが違う」だのというご意見がありましたら、ボードなりメールでなり申し出て下さい。(^^)

 


 


「それは当たり前じゃないですか。私は魔道師ですよ。ばりばりの白魔道師なんだ」
「黒魔道師の結界にこうしているだけでも、本当はなんだか息が苦しいような気がする。まあ、ヤンダルに占領された聖王宮にいるあいだも、もっといろいろと苦しい感じもしていましたがね。それは、ご老体がジェニュアにお入りになりにくいのとまったく同じことですよ」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第二話「魔の森の魔道師」より


「ばりばり」って別に死語ではなく、ニュアンス的には「現役」ぐらいではないかと思ったり。広辞苑でもそうですし。
……てなことは置いておいて。

しかし、白と黒ってこんなにも差異があるものなんですかね。
イェライシャのように、両方共極めておいたほうがいいような気がしますが、魔道の形態が違い過ぎて、別々に覚えるというのは不可能なんでしょうねぇ。



「またあの鬱陶しいお喋りの淫魔を私にくっつけようっていうんですか。勘弁して下さいよ。あいつは、私のような上品な人間には性があわない」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第二話「魔の森の魔道師」より


上品ですか……そう……上品なんですね、ヴァレ君は。(^_^)



「なんだ。そのていどのもんなんですか。〈闇の司祭〉の持っている情報というのは」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第二話「魔の森の魔道師」より


これは、闇の司祭が「アグリッパがルードの森にいるらしい」という情報をヴァレ君に告げた際にヴァレ君が言った台詞なのですが、正直なところ、私もそう思いました(きっぱり)。というか、これだけだと、それこそ雲を掴むような話だと思います。



「(前略)わしにとっちゃ、キタイの竜王の瘴気もジェニュアのヤヌス教の坊主どもの瘴気もたいしてかわりがないように思えるのでね」
「それはあなたがドールの徒だからですよ。まあ、しかしヤヌス教団はこういっては何だが、形式にこだわるあまり、形骸化してからひさしい。じっさいの魔道の力の研究や管理についてはみな魔道師ギルドにひきわたしてしまっていますしね。だから、まあ、ジェニュアがそこまで瘴気を放つ力があってくれれば私にとってはいいさいわいなんですがねえ」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第二話「魔の森の魔道師」より


……闇の司祭には有効でも、竜王には有効ではなかったようです(涙)



「おいらだってやだなあ。ルードには、あんまりうまそうな男なんかいそうもないし。道連れがあんたじゃあ、食いでもなけりゃ、からかいがいもありゃしない」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第二話「魔の森の魔道師」より


ユリウスにこう言われるのはいいことです。(ほっ)



「俺は俺で勝手にルードにゆくから、あっちで落合おうぜ。とにかく朝から晩まで目の前でそんなところをいじっていられたんじゃ、こっちは落ち着かなくてうざったくてたまらん。あんただって俺みたいな真面目な白魔道師と一緒じゃ堅苦しくて思うように悪さもできなかろ。あっちで会おう、あっちで」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第二話「魔の森の魔道師」より


ほほぅ……真面目な白魔道師ですか……真面目な……。



「連れてってくれなきゃ、いますぐジェニュアにいって、あんたの大事なお姫様のベットにしのびこんで****しちゃうよ。お師匠のじじいさまとちがって、おいらは古代生物だから、ヤヌス教の結界なんかちっとも怖くないよ。ヤヌス教なんて神様がこの地上に出現するよりずっと古くから、おいらの種族はこのあたりをうろうろしてたんだから」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第二話「魔の森の魔道師」より


嫌な脅迫だなぁ。(^_^;
頼むから実行しないでね。



(このままでは負ける……魔道師ギルドも、白魔道師連合も何の役にもたたない……ましてや、ジェニュアのヤヌス教団など、本当はもういまでは何の力ももっていない……まあ、多少、よそよりは結界が張りやすい程度だ)
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第二話「魔の森の魔道師」より


……本当に頼りにならないよなぁ(ため息)



「オッサンというんじゃない」
「俺はまだ若いんだ。ここまで連れてきてやった恩義も忘れやがって」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第二話「魔の森の魔道師」より


まーあ、確かに百年は生きているユリウスに「おっさん」とは言われたくないですよねぇ(苦笑)



「あんた、だんんだん、口のききかたがグラチーのじいさんに似てきたよ。どうしてだろうなァ、魔道師だのって、どうして、しばらくおいらといるとみんな同じような口きくことになるんだろう」
「それはお前さんが同じへらず口をみんなに叩くからだよ」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第二話「魔の森の魔道師」より


そうそう。何も魔道師に限ったことではないです。



「思い出した」
「どうも、確かにこの……この《気》の流れ、力……絶対に、昔、魔道師ギルドの教科書で勉強した認識パターンだ、と思っていたんです。……あれだ、あなたは、あの人だ。あの有名な……ご老体、御心配なさらないで下さい。いや、御心配なさるのも無理はないが――こやつは、この淫魔は、これはどうでもいいんです。たしかに〈闇の司祭〉グラチウスの乾分ですが、いまのところは私の連れです。それに、グラチウスはいま……もうご存知かもしれませんが、白魔道師連盟と一時的にせよ手を結ぶという誓約をかわしたのです。御心配はいりません、私は白魔道師です。ドール教団のものじゃありません。黒魔道師でもありません。ご老体――イェライシャ老師」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第二話「魔の森の魔道師」より


しかし、どうやって認識パターンなんて記録していたのでしょうか。しかも「教科書」って……(苦笑)
もしかすると、闇の司祭とかロカンドラスの認識パターンもあるのでしょうか。あるんでしょうね。でも、アグリッパは流石に資料がないからないんでしょうね。



――イェライシャ老師曰く

(パロの魔道師宰相ヴァレリウス上級魔道師)
(ああ、あんただったのか。……あんたなら、いっぺん会いたいとは思っておったよ。つまらんこけおどかしをしてすまなんだな。そんな、グラチウスの気配をぷんぷんさせている淫魔な連れているからだ。あんたなら問題ない。そこからここへ入りなさい。もちろんその淫魔は駄目だ)
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


……何かヴァレ君って有名人?



「すまないが、淫魔君、俺はちょっとこの池の主と会談してくる。あんたは入れないんだ。あんたはグラチウスの弟子だからな……ここで待っててくれ。あんたなら、べつだんルードの森のグールにとって食われる心配もないだろ」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


全然すまなさそうでないのがミソです。(^^;



「あらためて御挨拶させていただきます、老師。私はパロ魔道師ギルド、カロン大導師の弟子上級魔道師サラエムのヴァレリウスと申すもの」
「《ドールに追われる男》としてその名もたかきイェライシャ老師にはからずもこうして直接お目にかかるの英を得、これより嬉しいことはございません。名高き魔道師にお目にかかれるのはつねにわれら魔道師のもっとも光栄とするところ。――まだまだ老師の足元にひざまづかせていただく値打ちもなき若輩者ではございますが、何卒こののちは先達としてお教えをたまわりますよう」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


ヴァレ君の魔道師としての立派な名乗りです。(^-^)
それにしても、闇の司祭に対する態度とは全然違うんですが……やっぱり相手が違うからか?(笑)



――イェライシャ老師曰く

「まあな、昨今の白魔道師どもなど、ただの雇われの月給とりどもパロ魔道師ギルドなどと気取ってみてもその実体はなんの魔道の力ももたずにひとしいかよわい辻占い師のごときもの」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


イェライシャから見ればそうなんでしょうねぇ。
まあ、私から見ても、その肩書き並の実力や能力があるとは到底思えないのが難ですが。
やっぱ、サラリーマン化してしまったのはマイナスでしょうね。一応実力主義っぽいですけど、どうも年功序列の節がありそうですし。



――イェライシャ老師曰く

「わしから見ればな、ヴァレリウス、おぬしなど、決してそれほど魔力が弱いわけでもない、正しく鍛えて正しく修練と修行をつんでゆけば、ずいぶん立派な一人前の魔道師になれるだろうに、なぜにそんな、魔道師ギルドなどというものに首ねっこをおさえられておとなしゅういうことをきいておるのだ? まあ、そうおとなしくもないようだが」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


ええ、大人しくはしていないですねぇ(笑)



――イェライシャ老師曰く

「そう、だから、おぬしは昨今の阿呆な月給とり魔道師どものなかにあっては決して骨がないほうではない。それだけに、何が悲しゅうてたかがカロンの小僧ごときの足元にへばっておるのか。とはがゆい気持ちもするのだがね」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


カロンさんも、前巻では闇の司祭にも散々言われていたなぁ。
こうも言われてしまうと、実際のところ、どれだけの実力があるのか知りたくなってしまいます。
まさか、本当に年功序列なわけはないですよね?(^^;



――イェライシャ老師曰く

「それはむろん観相しておる。だが、正直いうて、わしにとってはパロのことなどは、あまりかかわりのない事柄でな。パロが滅びようと、よしんば暗黒王国になろうと。――わしは《ドールに追われる男》じゃて、わしの敵はグラチウス、ドール教団、黒魔道師どものほうだ。キタイについては、わしはまだ何の利害関係もない」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


果てしなくヴァレ君とは無関係な台詞ですが、私個人としてはこういう考えは大好きです。
ヴァレ君もこうあってほしいなぁ……と思いつつ、こうだとヴァレ君ではないんですよねぇ。でも、ヴァレ君って、何であんなにも愛国心があるんでしょうか?



――イェライシャ老師曰く

「それは、気づかなかったかどうかは知れたものじゃないね。気づいていても、グラチウスにとっては――いったん、おぬしの脳にそういう、《気》の信号を発するレーダーみたいなおのが埋められたちうことがわかっていれば、こんどは、ヤンダル・ゾッグの波動を追っかけていれば――つまりそうするとヤンダル・ゾッグとおぬしを結んでいる波動を追っていればつねにおぬしの居場所も、ヤンダル・ゾッグの動きもわかるわけだからな。きゃつにとってはそう悪い話でもあるまい。まあ、それが脳に達したらおぬしは死ぬが、ヤンダル・ゾッグのゾンビーにされてしまうが、それはあちらは気にするまいでな」
「あのじじい……」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


ヴァレ君ファンなら誰もが思ったことでしょう(笑)<「あのじじい」
でも、ヴァレ君が闇の司祭と同じ立場だったら、やはり同じことをしたかと思います。というか、してほしいかな。



「やはり私はひとのいい白魔道師なのでしょうか。……ううむ、なんてことなのだろう。私はもっと、悪徳の勉強もつまなくてはいけないのかな」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


いい見本が身近にいるじゃん……と思ったのは私だけ?(^^;



――イェライシャ老師曰く

「おぬしは、なかなか素直な性格をしておるね」
「それがおぬしの最大の取り柄かもしれん。――こんなに正直で、よくぞ魔道師がつとまるというほど、感情が顔にも気にも出てくる人だね。だが、まだ、おぬしていどの魔道師には珍しいほど、情動のエネルギーはきわめて大きい。これほど巨大な情動のエネルギーを持つ魔道師というのは珍しい。通常魔道師というのは、情念を去ることで力を高めてゆこうと修行するからね。――その意味ではおぬしもずいぶんとユニークな魔道師というべきかもしれないな」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


確かに、魔道師になるには大分遅い年齢から修行を始めましたから、肉体的にはまだしも、精神的には普通の魔道師とは違ってしまうのでしょうね、ヴァレ君は。
何しろ、普通の魔道師は幼い頃から修行を始めるらしいですし、英才教育じゃないですけど、感情のコントロールは完璧なんでしょうね。



「それは……おそらく、ナリスさまはいまがいちばん……幸福なのです。ひとは、ひと以上のものたろうとすべきではない……そのような野望を抱いたとき、ひとはこの上もなく苦しみ続けなくてはならないでしょう。だから……あのかたはいまようやく、ひとりのひと、人間になられた……そうではないんでしょうか?」
そして、人間とは死すべきものさ。そうだろう、ヴァレリウス」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


イェライシャに散々ナリスのことを言われた後に出たヴァレ君の台詞です。
そう、確かに誰が何と言おうとも、人としてはそれでいいと思います。人でなしにならないと出来ないこともあれば、人でないと出来ないこともあるのですから。



「それは確かに御聡明なお考えだし、グインと結ぶことは私も考えましたし、ナリスさまもグインと会って説得して同盟を結んできてくれ、とお頼みになったこともあります。それにしたがうのはやぶさかではない。だが問題はひとつ――私はヤンダル・ゾッグの虜囚から逃れるために、グラチウスに約束してしまったのです。アグリッパと会ってくると。あなたもいまさらいうまでもなく魔道師の誓約というのはどのようなものか、魔道師が恩義に対してかえさなくてはいけない義務があることをご存知のはずです。マルラスの義務というやつですね。――それにもうひとつ、そのことには、ゴーラのイシュトヴァーンがからんでいる。そうであるかぎり、これもいずれは私にとってはきちんと解決しておかないと、あとで非常に厄介になってしまう問題だと思われるので……」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


「マルラスの義務」ですかぁ……相手が相手ですし、無視しても構わないような気がしなくもないですが、だからこそ無視したらとんでもないことになりそうですよね。
でもって、イシュトですか……しばらく出て来ない間に、偉い悪者にされているような気がするのですが……気のせいでしょうか?(^^;(^^;



――イェライシャ老師曰く

「やれやれ、気の毒に。――こういっては何だが、なんだっておぬしはまた、そこまであの闇の王子に見込まれてしまったものかな。――それほどにあの呪われたアルシス王家の末裔が大切か。それに、こういうては何だが、おぬしは魔道師失格だな。そこまで、感情が激しすぎては、もう魔道師にもっとも必要な冷徹な知性を維持し、なにものにもゆるがされぬ精神集中を保つことはできまいよ。おぬしは、珍しくあまりに強烈な情念をもつ魔道師だとわしはいうたが、いまのおぬしはその情念のほうが強くなりすぎて、だんだん魔道師としては資格を失い始めているようだな」
  :
「おぬしは、アルド・ナリスのからだがあのようになるのを阻止できなかったというのと、それに、そのイシュトヴァーンとの同盟をも、おのれの力で阻止できなかった、というので、あまりにもナリスに対して負い目を感じすぎているようにわしには思えるよ」
「そのために、何がなんでもアルド・ナリスを勝たせなくてはならぬ、とありったけ思い詰めてしまったようにわしには思えるな。だが、それは、はっきりいって妄執だよ、サラエムのヴァレリウス。そして妄執というものは、あまりにつのってゆくとさいごには、そんなにも強力な妄執をもった当人をも、それをむけられたあいてをも、ゆがめ、ほろぼしていってしまうことになるよ。……まして魔道師の妄執、それも、これだけ力のある魔道師の妄執だよ。――妄執を残して死んだ魔道師がどうなるか、レムス王にとりついたキタイの魔道師の亡霊でもう、わかっておるじゃろ」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


耳が痛い台詞の連発ですなぁ。
実際にはここに挙げている台詞はほんの少しなのですが、それでもかなり耳は痛いです。でも、若干の語弊があるとはいえ、大よそはその通りですし。
ただ、「それのどこが悪い?」と開き直れるヴァレ君でもないんですよね。困ったことに。
そうそう。「これだけ力のある魔道師の妄執」って、一応誉めてもいるみたいですが……うーん。(^^;



「――妄執」
「まさしく、そうかもしれません。妄執……きっとそのとおりなのでしょう。だが、それでもいい。この――いまとなってはもう、この妄執そのものが私なのかもしれない。この思いなしには私はもう存在できない。……この妄執があたえる苦しみそのものに私は中毒しているのかもしれない。それとも、あのかたが私に与える苦しみと試練そのものに」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


爛れてるなぁ……(苦笑)
だからと言って、それが悪いわけではないですが。
端から見たら不健康で非常に正すべきことなのでしょうけれど、当人も認めている道ですし、これはこれでいいのかも……と納得させています。



「怒ってなどいませんし――まだ私のなかにさすがに残っている私の理性は、老師のおことばが一から十まで正しいと私に告げております」
「ですから、そのような耳のいたいことをいっていただいて、感謝しているぐらいです。でも、私ももう――そう、私ももう選んでしまった。もう、ひきかえせない。……私の手はあのかたのために流したたくさんの血に、罪に汚れている。そして私は……そう、私はあのかたの与える苦しみに中毒しきっている。きっと私はそれで身をほろぼすことになるのでしょうね。だが、私は身をほろぼしても、パロはほろぼさせない。それだけがいまの私の言い訳なのですから。……あのかたとともにほろびるのは、私にとっては……」
「だからそのように考えていながら、中原を、パロをだけ救うことができる、などと思うことは無理があるというのさ」
「おのれはほろびにとりつかれていながら、おのれのほろびによって中原を救うことができるだろうなどと夢見るというのはな。アルド・ナリスも同じだ――おのれの身をほろぼしたところで、それが何だ? ただ、ひとつの人生がおわるだけの話だよ。どのような人生でさえ、終わるさ――三千年を生きたアグリッパの人生でさえ、いつかは終わる。大宇宙の生命より長く生きる人生はありえない」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


うん。私もイェライシャの意見に御意ですね。
再三、このコーナー内でも「死んだらおしまいだ」と言っているわけですが、本当にそうだと思います。
やっぱり心中覚悟でやっちゃあいけませんよ。もしそうなっても、ただそれだけのこと、になるのですから。



――イェライシャ老師曰く

「わかったよ」
「お前さんを気の毒だと思うたからではない。また、アルド・ナリスとおぬしの妄執を正しいとしたからでもない。だが、これはわし個人のちょっとした個人的な興味もからんでいるのでな。おぬしを、アグリッパのところへ連れていってやるよ。そのあとどうするかは、自分できめることだな。アグリッパをどう説得するか、アグリッパが敵であった場合にどうするかは。そこまでは、わしには面倒みきれん」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


……非常に嬉しいのですが、「個人的な興味」って何なのでしょうか。
ヴァレ君とアグリッパの対面がどうなるか――というわけでもないでしょうし。この辺りもちょっと楽しみです。



――イェライシャ老師曰く

「おぬしをからかってどうする。からかってなどおらんよ。――おぬしもよほどうたぐり深いか、よほど人の好意を信じることに慣れてはおらんと見えるな」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


そりゃあ、竜王にあんな目に合わされて、闇の司祭にもいいように使われた日には、信じられなくもなりましょうともさ。



「おお、もちろん、もちろんです」
「あんなやつ、べつだん、ただくっついてきただけで何でもありゃしないんですから。そもそもこの件全体にしたって何もたいしたかかわりはもっちゃいません。ただ、グラチウスが最近一番弟子――だか子分だかとしてずっと使っている淫魔だっていうだけの話です。このまま永久にルードの森のなかに待たせておいたところで何のさしさわりもありゃしません」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


む…惨い。(^_^;



「アグリッパの結界の入り口は、ルードの森にあるんではありませんので?」
「違うね。すべての賢者、見者の最終的にゆきつくところ――ノスフェラスだよ。ルードの森にアグリッパがいるなどとほざいたのは誰だ? グラチウスか?」
「そうです。爺さん、本気でそう信じていたのかな、それとも自分でいっているほどたいしたことはないのかな」
「わしの結界がここにあるのは事実だからね」
「誰のものかわからぬよう、それを一番気をつけて結界を張っているから、たしかに、外から見れば異様に大きな《気》をもつ結界があって、そのなかにどうやらかなり力のある魔道師がいるな、とわかるだろうからな。それは、グラチウスが、ルードの森にアグリッパの手がかりがあると思うのも無理からぬことかもしれんさ」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


本当に闇の司祭は「アグリッパの場所はルードの森にある」と思っていたのでしょうか。もしかして、イェライシャクラスの魔道師が――アグリッパの居場所の手がかりを知っている者がいる可能性があると踏んで、ヴァレ君をそこへ向かわせたという可能性も有り得るのではないかと考えています。……買いかぶり過ぎですかね。



「それでも、私は自分の直感を信じますよ」
「グラチウスがどれほど親切ごかしにしてくれても、どうしても信用しきれなかったようにね。たぶん老師のおっしゃるように、私はよき魔道師であるにはあまりにも感情的だし、人間的かもしれません。だからたぶん、わたしには導師や大導師に出世することはのぞめない、上級魔道師が限界かもしれませんけれども、その分、人間的な感情を残している分、私は人間としての直感や第六感を持っているものだと思いますから。私が信じるものはもうそれしかないのかもしれない」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


精神的に人間により近い魔道師――ギルドにとっても、ヴァレ君という存在は、遅まきながら魔道師の修行をした人間が、どこまで魔道の力を上げることが出来るのか――という、一種の実験体だったのかな、と思いました。
肉体的な部分はどうにでもなると思いますが、精神的な部分は幼い頃からの教育がものを言うと思いますし。
王家の人間が義務的に魔道の勉強をするのとは訳が違いますからね。



――イェライシャ老師曰く

「そのあたりがおぬしもなかなか可愛らしいというのは認めるよ。それでは、信じてくれたお礼にひとつだけ、またつまらぬ情報をやろう。ちょっと、おぬしと話しているあいだにおぬしの波動のパターンを受け取ったんでそれを使ってパロのようすを透視してみたが、おぬしの大切なあるじの身辺に気をつけたほうがいいぞ」
  :
「いまのところは、パロの情勢は膠着状態になっているようだが、そうではない。アルド・ナリスのオーラの周辺に、なにやら、黒いちいさい影のようなものがいくつか見える。――どうも、そのなかのいくつかは確実に、ヤンダルの、最前わしがおぬしから除去してやった《魔の胞子》のように見えるよ。たぶんヤンダルがアルド・ナリスの身辺に送り込んだ間謀か、手の者だろうが、いまのところ、アルド・ナリスの周辺にいる魔道師たちに気づかれるほど成長もしていないようだがそのうちに成長すれば、たとえナリスがどこへ移ろうとその手先が身辺にいるかぎり、ナリスはヤンダルを一緒に連れて歩いているのと同じことだよ。当然、ナリスのうつ手もうつ手もすべて読まれるし、その手先を通じてヤンダルの《気》も術もごく感嘆に送り込んでこられる。あの黒い影はすべて除去してやらないと、ナリスはまったく当人に気づかぬまま、ヤンダルにずっと思いどおりにあやつられていることになりかねぬ。――これについては、魔道師ギルドもジェニュアの大神殿も何の役にもたっておらんようだな。そのへんはやはり、ヤンダルの力はさすがというべきなのだろう」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


《魔の胞子》ですかぁ……。
この手の白魔道が通用しない術ばかりだと、本当に白魔道って何なんだろうかと思ってしまいます。全然役に立たないじゃない、みたいな。黒魔道のほうが少しは役に立つのかな、なんて邪道なことを思ってしまいます。



――イェライシャ老師曰く

「おぬしは泣いておるのだな。それは涙だ。――どうした。魔道師というものは、一生のあいだに、たぶんいちども涙など流さぬものだぞ。魔道師の心というのは通常の人間のそれとは違うのだから。まったくおぬしは異色の魔道師であることよな」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


この台詞を読んで思ったこと。
魔道師って泣かないんですか?
ヴァレ君は腐るほど泣いていますけど……。(^^;(^^;
まあ、泣いて笑って怒る魔道師なヴァレ君だからこそ、いいんですけどね。立派な魔道師になってほしいという期待とは別に、いつまでもこのままでいてほしいな、と思っています。



「お恥ずかしいかぎりです」
「どうか、いつもこんなに感情的なやつだと思わないで下さい、老師。――いや、かなりそれに近いかもしれませんが、もうちょっとは魔道師としての義務も心得もわきまえたやつなのです。だが……このノスフェラスの白い砂をみたら、思わずこみあげてきてしまった。……あの――あのかたを……あれほどノスフェラスを見たがっていたあのかたをこうして、ここに連れてきてあげられたら……どんなにお喜びになるだろう、そのままもう死んでもいいとおっしゃるだろう、そう思ったら……涙が止まらなくなってしまったのです」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


呪縛されているなぁ……なんて思っていたら、早速イェライシャにも言われていましたね。(^^;
ま、ナリスを想う人ならば、共通の想いだということで。(^^)



「やれやれ。おぬしのは、それはもう中毒だの、恋だのという以前のものだな。それは、ただ単に魂を奪われてしまった、呪縛されてしまったとしかいいようがない」
「わしにはわからんがね。わしは魔道師のなかの魔道師だからね。恋をするだの、自分ではない別の存在にそれほど深いかかわりをもつなどという感情は、千年も昔に斬り捨ててしまった。いまでは、おのれの叡智にこそ興味はあっても、感情などというもの自体の存在を忘れかけている。そんなおにしの感情の起伏の激しさ、その情念が直接生々しくわしにぶつかってくる感じは、わしにはけっこう新鮮だよ」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


少なくても千年は生きているのね。
……というのは置いておいて。
私がこの巻のイェライシャを好ましく思う理由の一つは、勿論ヴァレ君を助けてくれることや魔道師として好ましいというのもありますが、第一にヴァレ君を一人の魔道師として見ていることです。他の――竜王だの闇の司祭といった人物は、ヴァレ君をナリスのオプションとして見ていますから。
台詞の端々を見ている分には、イェライシャってヴァレ君を気に入ってくれている――というか、興味はあるのかな、と思っています。(^^)



「――あのかたはいつだってそうなのだ。あのかたはいつだって、本当に御自分のしたいことを口には出されない。本当に感じていることを、私が力づくで奪いとらないかぎり、なかなかおもてに出すこともなされない。――そのことであんなに重荷をしょいこみ、不本意な荷物をたくさん背負いながら、あのかたは……」
「みずからを偽ろうとする魂は、その偽りによって重荷を背負い込むことになるということさ」
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


まあ……その通りなのですが……なのですが……。



「《グル・ヌー》」
(私のみているものが――私の感じているものが、このまま心話となってつたわって、せめてあなたの夢のなかに、ノスフェラスの熱い風を運ぶことができたなら……)
(ああ――あなたにノスフェラスを見せてさしあげたい。――私にもっと力があれば……もっともっと、力があったら……)
(こんなところへ私がくるよりもどんなにか……あなたがおいでになったほうが、多くを見たりきいたり――そして心までもはてしなくさまよい出てゆけたでしょうに……)
(ああ、ナリスさま……あなたは見も心も運命のかぜに縛られてジェニュアの地をはなれられずにおいでになる……)
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第三話「イェライシャとヴァレリウス」より


ヴァレ君にもっと力があれば、ノスフェラスにでも結界を作って、ナリスと一緒に過しつつノスフェラスの謎を研究しているのかな、なんて思ってしまいました。
……儚い夢ですね(涙)



リギア曰く――

(ああ、ヴァレリウス……またしてもくりごとになってしまうわ。あなたがいてくれれば――もうすべての恩讐をこえて、いま、あなたさえここにいてくれればすべてがよくなるのに――そんなふうに思うのはばかげたことだとはわかっている。あなたは武将でさえないんだから……でも、たぶんあなたがいれば……ナリスさまはあなたが殺される夢をみて眠れないなんてことはなくなるはず――少なくても竜王の呪術の攻撃だって、あなたならふせげるはず……どこにいるの、ヴァレリウス。どうしているの……早く帰ってきて。もう、過去のあれこれも、私があなたにもっていた憎しみもうらみもすべてどうでもいいわ。いまはすべて消えたわ――いまは、この反乱を成功させるカギはすべてあなたの上にあるからには……帰ってきて、ヴァレリウス。あなたがいないと、ナリスさまはあんなに気弱になってしまわれる……いまのナリスさまは弱り切って、まるでちょっと強い風がふいたら消えてしまいそうな小さなろうそくみたい。見ていられないわ……あまりにかよわくて、辛そうで……早く帰ってきて。もう、私のことなんかどうでもいい……ナリスさまのいのちのほのおが消えてしまわないうちに、早く帰ってきて――あのかたを守ってあげて、ヴァレリウス……)
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第四話「真冬のルノリア」より


……参りました。(__;)
しかし、リギアも相当ですなぁ。
リギアが男だったら、一体どうなっていたんだろう(汗)
ヴァレ君以上の妄執を持ち得たかもしれません。そう考えるとちょっと恐いです。



(ヴァレリウス……)
(……ヴァレリウス……)
(遠くから……きこえたような気がした……空耳か)
(あのかたの声が……《ヴァレリウス》と……俺をお呼びになるかすかな声が……)
(空耳ならばよいが……どうせ俺はいつもあのかたのことを考えているのだからそのせいかもしれないのだし……)
(そうでなければ……あのかたが何か……切迫して俺を呼んでおられるのでなければいいのだが……)
(ああ……気にかかる。こんなに遠くはなれた地で……あなたが思いおよびもつかぬこんな場所で……)
(あなたの声がきこえてくる……私を呼ぶ声が……ヴァレリウス、と私をたしかに呼んだ気がする……)
(ここは……ノスフェラス……あのかたの夢のおくつき……)
(あんなにも、あなたがここにきたいと、そう子供のように念じていられた、そのことがあまりに俺の心につよい影をおとしているからだろうか……この地にきてから、妙に胸がさわいで……あなたのことばかり考える。――本当は幼い子供の魂をそのままとどめているあなたを――不幸な幼い子供の魂のまま、頭だけ歳を取ってしまった不幸なあなたを……)
(子供のように……幼い子供のように、ノスフェラスをその目でみたい、と……もうこの足で走り回ることはできなくなってしまったけれど、せめてひと目みたいと……豹頭のグインとひと目あいたいと……目を輝かせて……)
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第四話「真冬のルノリア」より


こんな際にそんなことを考えている場合ではないんでは……というのは置いておいて。
本当にナリスは切迫していてヴァレ君を呼んでいるのですが――切迫なんてものではなく、凄く苦しんでいるのですが、そこまでは計り知れないでしょうね。でも、ナリスの心の叫びがちゃんとヴァレ君に届いたのが救いかな。



(いまは……もう何も考えまい。……俺はノスフェラスに――大導師アグリッパの結界のまさにその前にたって――いまやまさにその扉をたたこうとしている。しっかりしろ、上級魔道師ヴァレリウス――いまがお前にとって今生の分かれ目なのだぞ……生還するか、それともこれを一期と……二度と中原へも、パロへも戻れず――あのかたとまみえることもないか……あのかたをもキタイの竜王のなすがままにし、ほろびよりももっとむごい運命にまかせて心残りのあまり幽鬼と化して永遠にノスフェラスの砂漠をさまようか……いまが、その、境い目なのだぞ……ヴァレリウス……ヴァレリウス!)
本伝第七十四巻「試練のルノリア」第四話「真冬のルノリア」より


そうそう。
今はひたすらアグリッパと会うことのみを考えるのです。(^_^)

 

  ―10―  

魔道師宰相執務室
上のバナーをクリックすると、魔道師宰相執務室へ戻ります