ヴァレ君悲哀篇(50巻〜57巻)

 

お次は何とまた、人生最大の転機というべきか、ヴァレ君悲哀篇ということで、50巻から57巻の間のヴァレ君の名(迷)台詞を記します。
折角物事が順調(?)に進んでいたのに……ここからは読んでいて辛くなるような台詞がてんこもりです。覚悟してお読み下さい。
それと、多分に漏れがあると思いますので、「こんな名台詞がある」だの「ここが違う」だのというご意見がありましたら、ボードなりメールでなり申し出て下さい。(^^)

 


 


「あなたは――あなたはずるい。……あなたはそのあなたの本当の恐しいすがたかたちをどうして私にしか見せないのです。どうしてなんです。――私はただの――私はただの一級魔道師です。あなたのような……天下のクリスタル大公ほどのかたの秘密をわかちあうのは……私ごときには荷が重すぎる。どうして私なんです
本伝第五十巻「闇の微笑」第一話「闇に住む者」より


ううっ。こうしてヴァレ君の葛藤が永遠と続くのね。(^^;;;



「あなたは、本当に人間ですか。アルド・ナリス」
「本当に本当の人の子なのですか。人の心、血の通ったからだはお持ちなのですか。クリスタル公アルド・ナリス」
本伝第五十巻「闇の微笑」第一話「闇に住む者」より


ヴァレリウスがどのような表情でこの台詞をつぶやいたのかは想像の範囲を越えていますが、ナリスが平然としていたことだけは容易に想像できます。
(しかし、気持ちは判るけれど、酷い言われようだなぁ。(^^;)



「私が間違っていました。――死んだ悪魔は始末が悪いけれども、生きている悪魔よりはまだましです。……この悪魔、美しい悪魔をこのまま中原に放っておいたらいったいどれほどの悲劇、どれほどの悲惨を中原に、愛するパロによびさますことだろう。私は今日はじめて本当に骨の髄まであなたが怖いと思った」
本伝第五十巻「闇の微笑」第一話「闇に住む者」より


これはこの前の台詞と対になっているものです。
しかしナリスを悪魔呼ばわり……まあ、間違ってはいませんが。(^^;


「できません」
「私にはできません。なんということだろう――私をどれほどでもさげすんで下さい。私にはできない」
「私は――私をかいかぶっておられる。ナリスさまは私をあまりにも――誤解しておられる」

「私は、私は何ものでもありません。私は――私はただのリーナスさまの忠実な陪臣にすぎません。いったいなぜ私のような平凡で無能な人間がこんな――パロの歴史にかかわったり中原の運命に手をふれるようなそんなおそろしい任務にまきこまれてしまうのです。私は――私はもともと魔道師ギルドでただギルドの命令に忠実に動いていただけの一級魔道師にすぎない。私には――私には決断することなどできません。こんなおそろしい決断を実行する意志の力など私のどこにも――何をもとにそんな責任を引き受けたらいいといわれるのです? ナリスさまの孤独がどれほどのものか――どれほどおそるべき運命を引き受けておられるか私には痛いほどわかります。そうであればあるだけ、私と――私とあなたを同じ場所に立たせたりしないで下さい。私は誰かの下でただ命令どおりに動く人形でしかない」
本伝第五十巻「闇の微笑」第一話「闇に住む者」より
ナリスを殺害することが出来なかった場面です。
色々と言いたいことがあり過ぎて、うまく考えがまとまらなかったのですが、「某ハンドブック2」へ投票する際に改めて考えてみたら、ようやく文章に出来る程度には考えがまとまったので、下に記します。

ナリスのあの程度の提案に驚愕する辺り(ヴァレリウス自身も言っていましたが)ヴァレリウスはナリスという人間を完全に見誤っており、また、この時点において、ヴァレリウスは非道になりきれていなかったのだと思います。48巻や49巻辺りのヴァレリウスの様子からだと、これらの方法も頭には入れていたのでしょうけれど、実行する勇気――いや、決断力がなかったのではないかと思います。
ここでナリスにとどめを刺せなかったことも含め、ヴァレリウスの資質だと、ここまでが限界かな――と思いました。 ここでナリスにとどめを刺すか刺さないか――自ら正しいと思う道を選べるか否かでヴァレリウスの道は既に決まっていたのだと思います。


「いくら私がなすすべもなく悪魔に魂を売ったといっても――私までも悪魔にさせることはいかなあなたといえどもお出来にはなりません。もしリーナスさまを……とおっしゃるなら、今度は全然違う決断によって、さっきしそこねたことを今度はしそこねませんよ。それともそれが本当のお望みなのですか」

「私はリーナスさまを魂にいわば刻印されているんです。お守りし、見守ってゆくように、と。生まれながらに」
本伝第五十巻「闇の微笑」第一話「闇に住む者」より


いつまでリーナスをお守りし、見守り続けていれるのか……頑張ってほしいですね。



「あなたはたぶん――あなたはたぶん生まれ落ちたことそれ自体が間違っていたのだ。あなたはこれだけのすべてに――美貌から才能から知性から運命からすべてにほかの人々の垂涎の的となるほどに恵まれながら、どんな下らぬつまらない市井の人間でも持っているもっともありふれた何かを欠いておいでになる。」
本伝第五十巻「闇の微笑」第一話「闇に住む者」より


ナリスの場合は、勿論パロ王家という生まれからくるものもあるとは思いますが、何よりも全てに恵まれていた――勿論、半分は努力した上で得た物ですけれど――そして誰にも劣らないがあった、だからこそもっともありふれた何かが欠けているのだと思います。
人は自分より欲望が少ない存在を理解出来ない――とよく言いますが、「欲望」を「美貌」や「才能」、「知性」に置きかえるとナリスもまた例外でないような気がします。



(まもなく、俺の運命はかわってしまう)
(俺の運命も――パロもかわる。そのことを知っているのはあの人だけ……)
あの人が変えたのだ。指ひとつ動かさず、ただそこに横たわっただけで――俺をちっぽけな人形のようにあやつってあの人はものごとを変えてしまう)
(間違っていただろうか。――あのとき、やろうとしたあのことをなしとげ得なかったために俺は恐ろしい間違いをしでかしたのだろうか――パロのために。……俺はパロに悪魔を呼びさましてしまっただけか)
               ひと
(たぶんこのことを知ったあの女は……もう二度ともとのようには……)
(やっと、俺に優しく明るく素直にほおえみかけてくれるようになっていたのに)
(やっと、もしかして俺でさえ人なみの幸福を求めても悪くはないのだろうかとさえ思いはじめてきたところだったのに)
(それ自体がいかにおろかな望みであるかはわかっていた。――だがあの人は俺を小さな木切れの人形のようにその白い指さきであやつり、俺の一生をおもちゃにし、変えてゆく……)
(俺はあの人を憎んでいるのか、見入られているのか……きっと両方だ)
(あのとき――あの暗い地下牢で俺がカル・ファンに声をかけずにいたら……俺は自分の、臆病者の自分の手を汚すことなくたぶん……朝まで放置しておけばあの悪魔のような心臓は止まっていたかもしれぬのに……)
(ヤーンよ。――何もかもわからなくなりました。何が正しく、何が間違っているのか、いまの俺には何もかも……)
本伝第五十巻「闇の微笑」第二話「嵐のはじまり」より


「何が正しく、何が間違っているのか」――それは自分自身にしか判らないのではないでしょうか。人それぞれ色々な見方がある以上、誰もが意見を統一するほどの絶対的な善や悪というのはないのだから、結局は自分自身の気持ちが問題ではないかと思います。
今のヴァレリウスは、自分自身が今まで抱いてきた「正義」が揺らいでいる状態です。何故なら、ナリスが提案した方法が、自分にとって忌み嫌う手法であるにも関わらず、それが唯一の解決法である――とまでは言えなくても、自分にはそれ以上の方法が思い浮かばないということ、そしてその方法を取れば、取り敢えずは(アムブラを除けば)平穏無事で済む――被害は最小限で済むということ――つまり、自分が忌み嫌う方法が、自分が望んでいる結末を迎えることが出きるという「矛盾」がヴァレリウスを悩ませているのだと思います。
ヴァレリウスの頭の中で、この時点において「これしか方法はなかったんだ」と割り切って納得出来れば、こんなに悩むこともなく、苦労もなかったのでしょうが、それだとヴァレリウスではないですね。



(ああ――なぜ……なぜさっきこの手を途中でとめてしまったのだろう)
(あのときしそんじたことをいつかやりおおせるときはくるのだろうかと夜中に目をさますたびに俺は思うのだろうか)
本伝第五十巻「闇の微笑」第二話「嵐のはじまり」より


思うほうに100ラン。



(俺は、いったいこの大弾圧の決着をあの人がどうつけるかを死ぬほど知りたがっている……このおそろしい展開をあの人がいったいどう利用し、そしてどのような……常識的に考えればまさにあの人の手足を縛り、あの人の味方を弾圧してあの人からすべてをとりあげようとするこの陰謀を当人がみずからたくらんでみせたということに異常な興味を感じてしまっている。この決着はどうつけるのだ、アルド・ナリス――俺の中の何かがそう叫び立てている。これをもし、あの人がさらにそのうしろになんらかの悪魔的などんでん返しをでもひそめて利用してのけたとしたら、俺は……俺はあるいは感嘆のあまりあの人の犯したこんな悪魔の罪をさえゆるしてしまうかもしれない)
本伝第五十巻「闇の微笑」第二話「嵐のはじまり」より


頭がいいというものも辛いものだと思わずにはいられません。まあ、だからこそ、ヴァレ君は平凡でありたいと思っていたのでしょうけれど……。
この場合も、ナリスの知略の全てを知りたがっている――知的好奇心を満たさずにはいられない、ヴァレ君の想いを感じます。



(そういう――そういうあなただから……あなたのそういうところを私はおそらく、こよなく愛していたのではあるけれども……)

(俺は――俺は生涯のうちにもう二度と誰とも、湖畔のしゃれた料理屋へゆくことなどないだろうな)
こうして、一時はあれほど彼にとっては生まれてはじめての甘やかな恋の夢を見た乙女との絆は断ちきられ、とおざかってゆくのだ。そのことが彼には身にしみてわかった。
あの時は楽しかったな……いまとなってはあまりにも悲しい追憶が彼の目をうるませた。
本伝第五十巻「闇の微笑」第三話「レムスの告白」より


ヴァレ君の過去の恋への決別を感じさせた台詞です。
自分と余りにも違うリギア――だからこそ、彼女に惹かれたのでしょうけれど……悲しいですね、辛いですね。
いずれにせよ、もう二度と魚料理も食べないことを誓ったに違いありません。(^^;



「私はあなたと組んだつもりはないし――そこまで落ちたくない」
「あなたに見入られてしまっている、蛇の前のカエルのようなものかもしれませんが――いつか必ずあなたのこの呪縛から自由になってみせる。そのとき私の最初にすることはあなたを――」
「この地上から永遠に抹殺すること、だろう? いいとも」
本伝第五十巻「闇の微笑」第四話「大弾圧」より


果たしてヴァレリウスがナリスという名の呪縛から自由になる日は来るのでしょうか。その前に、ナリスが地上から消えることが明白になりつつあるので、あるいは一生このまま……?
でも「呪縛」というのは「まじないをかけて動けなくすること」国語辞典より)らしいので、今のヴァレリウスは、自らの意志でナリスを選んでいるのだから、そういう意味での「呪縛」は解けたのかもしれません。



「アル・ディーンさまのことは?」
本伝第五十巻「闇の微笑」第四話「大弾圧」より


ヴァレリウスは魔道師だから、常にナリスを監視――とまではいかないけれど、まあ、ナリスを知る機会が多かっただろうし、ディーンがパロを出奔しても、魔道士に監視させていただろうから、ナリスがどれだけディーンを想っていたかはよく判るかと思うのです。その上で、敢えてこの禁句とも言えるディーンの名を口にするというのは……まあ、非常にその気持ちは判りますし、私でも同じ境遇に合ったら嫌味の一つや二つでも言いたくなるというものですが。



(そんなあなただから私は好きになったのですよ! そんな自由で激しい熱情的な魂だからこそ、パロには珍しい直寉で炎のようなあなただからこそ、私はこんなにもあなたを好きになったのですよ――)
本伝第五十一巻「ドールの時代」第一話「暗夜」より


ヴァレ君のリギアへの想いがひしひしと伝わるなぁ(涙)



「――いつもあなたはそうです。決してひとの忠告になど、耳をおかしにならない。――今度は思い知られたことでしょう、などとは申しません。思い知ったのは私です。……あまりにも深く」
本伝第五十一巻「ドールの時代」第二話「毒蛇」より


私もヴァレ君がナリスをそこまで想っていることに、深く思い知りました。



「――ふつうの人間なら決して、そんなふうにして自分のいのちを賭けて遊んだり、自分の健康を犠牲にするかもしれぬ危険、あるいはそんなおそろしい苦痛を味わう危険に身をさらす気にはなれないはずだ、というのが、ふつうの人間の考えだからだ……だが、あなたは――あなたはつねにどこかに自殺願望をはらんでおいでになる。これでもし死ぬのならそれでよし――生きているのなら、まだ自分は死ぬわけにはゆかぬ運命なのか、と――いつもいつもそうやって必要以上の危険に身をさらすことでしか、生きている、よいう実感をもつことのできぬ人のように、私には感じられる」

「なぜあなたはそうなんです。――なぜこのように皆に愛され、崇拝され、慕われ――誤解とはいえまるでひとに愛と生きる力をひろめる太陽神のように思われていながら、何ひとつ生きる喜びも実感も感じる事がお出来にならないのです。クリスタル大公アルド・ナリス」

「いつもあなたはおからだが傷ついていたり、病気でふせっていらっしゃるときのほうが倍もお元気そうにみえますよ、まるで精神の健康が肉体の健康には敵となり、肉体の病は精神の健康のための最大の薬だとでもいうかのように」

「無事これ名馬、というのが少しでも真実であるとすれば、あなたはこのように怪我や病がたえない、というだけでもすでに英雄にも――名君にもおなりになる資格がない」
本伝第五十一巻「ドールの時代」第二話「毒蛇」より


ナリスの自殺願望論を上げてみました。
「愛の嵐」辺りを見ていてもそうなのですが、何というか、自分の命を賭けている――いや、もて遊んでいるような気がします。
リンダと一緒になって、少しはマシになったかと思っていたんですけどねぇ……おっと、これではここがナリスのページになってしまう。注意せねば。(^^;
でも、ヴァレ君の名台詞ってナリスがらみが多いんですよね。
まあ、ナリスのせいで出番が増えたのだから、当然と言えば当然なのでしょうけれど。



「そう、いま、このやすらかに眠っているあなたのかたちのよい口と鼻に、水でぬらしたうす紙をそっとはりつけさえすることができれば、私は何の苦もなくあなたという毒蛇の影響から逃れ出――もとの人間らしいつまらないちっぽけな、だが自分のささやかな世界に満足していたヴァレリウスに戻ることができるのでしょうに。――あなたは私の忠誠を信頼して下さっていてかまいません。私はいつか必ずあなたを――必ずあなたをこの手でなきものにしてみせる」

「いまの私の楽しみはたったひとつ、『いまに必ず地上の悪魔の息の根をこの手でとめてやる』ということだけですよ。クリスタル公アルド・ナリス」

「いまに必ずこの罠から脱出してみせます」
本伝第五十一巻「ドールの時代」第二話「毒蛇」より


ナリスを(なんらかの形で)なきものにすることが仮に出来たとしても、果たして元のヴァレ君に戻ることが出来るのでしょうか。



(ほんとにこまごまと悪い人だな、あなたという人は)

(下っぱとしてじっさいにあちこちを走り回っているほうがはるかに性にあっているな)
本伝第五十一巻「ドールの時代」第二話「毒蛇」より


副宰相としてのぼやきです。(^^;
影の黒幕ならまだしも、表立った高い地位は望むところではないですし。きっと表(この場合は本伝)に出ないだけで、沢山ぼやいているに違いありません(笑)



「私が愛しているのはそのあなたのおっしゃる少年ではないのです。それはご存じのはずです。私が愛し、それゆえにその運命を案じおそれているのはあなたなのです」

「私にだってどうすることもできないのです。リギア」
「魔道でこの気持ちを変えれるものならばこんなに苦しんだりはしないでしょう」

「では――ではいっそいま殺して下さい。その手で。あなたのその短剣で」
本伝第五十一巻「ドールの時代」第三話「ヴァレリウスの苦悩」より


「魔道でこの気持ちを――」って、25巻で魔道で記憶操作を思いっきりしているじゃん。カル=モル憑きのレムス相手だけど。(^^;
というチャチャは置いておいて。(/^^)/
この頃のヴァレ君は見ていて辛くなりますね。
いっそリギアも殺してくれればいいのに……でもそこまで親切じゃないのよね、リギアは(涙)



「理知と知性がですって」
「謀略と陰謀術数が、のお間違いではないのですか」
本伝第五十一巻「ドールの時代」第四話「闇と闇の密約」より


……これはヴァレ君の意見のほうが正しいな(ぼそっ)



「御自分がまったく動けない状態だということを多少軽視なさりすぎてはいませんか。私は――あなたに手をかけることこそできなかったが、それ以外のことなら何でもできるんですよ」
本伝第五十一巻「ドールの時代」第四話「闇と闇の密約」より


この台詞を聞いた瞬間「本当にそれ以外なら何でも出来るんだろうな!(^^;」と思ってしまいました。


(あなた――は――!)
ヴァレリウスの目が火になった。かれは狂ったようにナリスの目を求めた。ナリスの目は平然とヴァレリウスの目を受け止めて動かなかった。しずかで、底知れず、そして妖しく冷たかった。
(どうして、そこまで、私を追いつめて……)
(そんなに――そんなにもひとを弄んで、ひとの運命をおもちゃにして――何故……)
「あまりの光栄、身にあまりすぎるおことばに身のおきどころもなき心地でございます」
「つつしんで――つ、慎んで臣ヴァレリウス伯爵――宰相職の玉命をう……うけたまわらせていただきとう……存じます」
いずれも本伝第五十二巻「異形の明日」
第四話「魔道師宰相より
ヴァレ君の中にあったものが、何もかもが崩れ去った瞬間ではないでしょうか。
この後のヴァレ君の涙が喜びの涙ではなく怒りと悲しみの涙だということを知っているのは、ヴァレ君をここまで追い詰めたナリスだけだということもまた、皮肉な現実だと思いました。

でも、よくよく考えてみると、リーナスに宰相が務まる訳がないと思うの、ヴァレ君。(^^;
#凄く失礼な奴>自分


「ここは私の戻るところではありません」
本伝第五十二巻「異形の明日」第四話「魔道師宰相より


なんつーか、今となっては戻るところになっているのが悲しい(涙)



すべてを知るなどということは、人間には出来ません! 冒涜です!」
本伝第五十二巻「異形の明日」第四話「魔道師宰相より


ううむ。当たり前と言えば当たり前のことを言っていますね。
でも、その相手がナリスじゃあ………。(^^;



「邪悪な気配――」
「何かが動いている……東方から、こちらにむかって……《気》が動く……流れを感じます。確かに私は下っぱ魔道師ですが、その私でも感じるような――巨大な《気》を」
本伝第五十二巻「異形の明日」第四話「魔道師宰相より


ヤンダル=ゾッグの名前をつぶやいた後の台詞です。
こういう高位の魔道師さんらは、アンテナでも張っているんでしょうかね。名前をつぶやいただけで《気》を感じるなんて。(^^;



「もしあのかたが私の暗殺者としてきて下さるのなら、私はためらわずあのかたの刃に身をなげますとも」

「そうしてあなたの計画をだしぬき、少なくともあなたの傀儡として宮廷をうごめきまわるでく人形を黄泉に放り捨ててやったというだけでも、いまの私には最大の勝利の快感が味わえるでしょうからね。もしリギアさまが私を暗殺して下さるのなら、それは私にとっては最大の喜びです」
本伝第五十二巻「異形の明日」第四話「魔道師宰相より


本当に身を投出しそうで恐いなぁ。
でも、ヴァレ君が宰相に任命された時点でリギアも真相に気付き、ヴァレ君を暗殺しに来るかと思ったのですが……中々物事は都合のいいように上手くいきませんね。(^^;



「ええ。私は逃げません。――私は逃げません、決して」
「私は逃げません」
「私には――私にはどこにも、逃げるところがありません……」
「おそばにいますよ。――クリスタル公、アルド・ナリスさま。あなたが、いのちあるかぎり」

「私は、あなたのその、闇帝国をこの地上に罪深くもうちたて――そしてこの世界の生成の秘密と暗黒の力のすべてを手中にしようという、深奥の深奥のたくらみをついにきょうようやく知ることができたんです。――私は、あなたがもし本当にそうされるのだとしたら――そのたくらみをみきわめ、うちやぶり――阻止する、そのために、あなたのおそばにいますよ――これからもずっと」

「――こう申上げておくのは、もうそのようなことはとっくに先刻ご承知でしょうけれども、私はあなたのおそばにいて――そしておそらくあなたにとってはいつか最大の敵になりますよ、とおことわりしておくためですよ」
本伝第五十二巻「異形の明日」第四話「魔道師宰相より


ナリスから逃げずに立ち向かう(?)ことを決意した台詞です。
最も今は立ち向かうというよりも共に歩くこととなりましたが。
これからも、ヴァレリウスは、ナリスから逃げ出さないでほしいと思っています。



「二人の醜い小男が中原に毒を垂れ流している――すべての悪と災厄の二人の元凶、そういわれるようになる気がしてなりません。あなたが彼のことを醜いとか、小男とかいわれるたびに、私は自分のことを云われているような気がして胸がえぐられる気持がします」
本伝第五十五巻「ゴーラの一番長い日」第一話「中原の嵐」


「何を馬鹿なことを」とナリスはフォローしているけれど、ナリスにフォローされてもピンとこない……でも、私も「何を馬鹿なことを」と思います。



「いつの世でも、どのようなときでも、ものごとに変化を引き起こすのは賢者ではなくて愚者ではありませんか。そしてかれらは時として賢者、見者にはなしえない大きな達成と変化を――それがよきにつけあしきにつけ世の中にもたらす役割をはたすのです」
本伝第五十五巻「ゴーラの一番長い日」第一話「中原の嵐」


本当にそうだなぁ、と思う今日この頃(しみじみ)



「またそういうことをいわれる……」
「そんなふうに観念的なことばかり云っていらして――現実の死が叙事詩みたいにロマンティックに訪れるとは限りませんよ。キタイに誘拐され、古代機械の秘密をすべて白状するようにもっとひどい拷問にかけられて、さいごはおそろしい苦悶にみちた死ということだっていやというほどありうるんです。……きれいごとではありませんよ、死は」
本伝第五十五巻「ゴーラの一番長い日」第一話「中原の嵐」


ナリスもそのことは判っていると思うのですが……どうだろう?



「いい加減ではないよ。私が誰かに興味を持ったとしたらそれはいけないことなの?」
「それがパロのゆくえにかかわり、国際情勢とひいては世界の運命にさえかかわるようなことだったら、いけないどころか、とんでもないことです」
「力を持っているものにはその力を気紛れに使う権利もまたあると思うんだけど」
「その気紛れのためにもうすでにアムブラを滅ぼされ、人一人の一生を破壊され、何人もの人間を闇に葬られた」
「力のないものは力のあるものの気紛れのためにいつもそうして苦しみ、ほろび、踏みにじられていったって当然だ、そうおっしゃるのですか」
「そうだよ」
本伝第五十五巻「ゴーラの一番長い日」第一話「中原の嵐」


気紛れ……大陰謀もナリスにかかっては気紛れなのでしょうか。
う〜む、う〜む、う〜む。(-~-)



「いまさら、どうして、などとおききになるのですか」
「私があなたの傀儡だからです。――あなたの奴隷で、あなたの操るとおりに動くあなたの人形だからですよ。違うのですか」
「それに、そんなに私のことを悪魔だといっても、やっぱり君は私のいうことをきくんだよ。――私を愛しているんだろう、ヴァレリウス」
「――仰言る通りです」
「私の傀儡として働くためにこのマルガへきたんだろう?」
「その通りです、ナリスさま」
本伝第五十五巻「ゴーラの一番長い日」第一話「中原の嵐」


こうも「傀儡」という言葉を連呼されると、ヴァレ君自身がそうだと思い聞かせているような気がしてなりません。ナリスに対する皮肉という感じがします。
ヴァレ君はナリスの「傀儡」でも「奴隷」でも「操り人形」でもないと思うのですが……ナリスはどう思っているんだろう?



「でもそれは――また申し上げますけれども、暗黒で血塗られた、無数の人々の嘆きと苦悶によって綴られる叙事詩なのですよ」
「すべての歴史はそうやって綴られてきたんだよ。ヴァレリウス――平和と凡庸とおぞましい平凡な日常によってじゃない」
「――何を申上げても、あなたのその暗黒な病んだお心には届かないのですね」

「なんだか――誰も知らぬあなたの内面を知れば知るほどあなたの心の暗黒の深さが私を呪縛してゆくような気がする。……せめて、私にその暗黒を見せないでいて下さっていたら
「でも見てしまったんだ。いつでも君こそが手を下してその悪魔のわざわいから中原を救えるというわけだよ。君だけが」
本伝第五十五巻「ゴーラの一番長い日」第一話「中原の嵐」


最後はこれで絞め――もとい、締めました。
ナリスのこういうところってこズルイよな〜と思ってしまいます。

 

  ―4―  

魔道師宰相執務室
上のバナーをクリックすると、魔道師宰相執務室へ戻ります。