ヴァレ君準備篇(65巻〜70巻)

 

ええと、ヴァレ君準備篇ということで、ここには、65巻から70巻までのヴァレ君の名(迷)台詞を記します。
最初は「反逆篇2」と付けていましたが、まだ反逆からは程遠い巻なので(時期としては全然遠くないですが)「準備篇」と改めました。(まさか「滅亡篇」にするわけには……。(^^;)

65巻はナリスの台詞1本だけだったのですが、その反動か66巻は……。(^^;
そして、久々に出番があった70巻では……相変わらず長文だし。(^^;

まあ、多分に漏れがあると思いますので、「こんな名台詞がある」だの「ここが違う」だのというご意見がありましたら、ボードなりメールでなり申し出て下さい。(^^)

 


 


「あなたが、かれらに命じたのではない。かれらが、あなたを選んだのだ。あなたには、選ばれたことに対する責任こそあれ、かれらの死を背負い込む理由などありませんよ。あったとしたらそれは傲慢というものです、こういっては、傷ついているあなたにきびしすぎることばにきこえるかもしれませんが。私は――私もまた、いろいろと悩みました……私の迷いを啓いてくれたのは、私がその一生をほろぼすことになった男のことばだった。わたしが正しい愛国者の道からひきずりおろし、闇にひきこみ、迷わせ、恋を奪い、ともに破滅することへひきずりこんだ、その男がにっこりと笑って、『あなたじゃない、私があなたを選ぶのだ』と考えるにいたったとき――私は、はじめて知りました。それでは世の中には、何かを与えてやることではなく――何かをしてもらうこと、何かを与えてもらうことによってだけ与えることのできる贈り物もあるのだなと――その贈り物の名は、《信頼》というのだと」
本伝第六十五巻「鷹とイリス」第四話「鷹と月」より

台詞的にはこの前の台詞も必要かと思ったのですが、ここはナリスの名台詞を語る場ではないので割愛しました。(^^;;
しかし、ナリスの口から《信頼》という台詞が出るとは思いませんでした。
この台詞を読んで、ヴァレ君の言葉はちゃんとナリスの心に届いていたのだな……ヴァレ君の数々の台詞は無駄ではなかったのだな……と改めて思いました。

でも、この台詞、絶対にヴァレ君の前だけでは言わないような気がするの、うん。何せあのお方も強情張りな方だからね(笑)
(でも、ヴァレ君遠話で聞いていたかもなぁ)



「お前は、私を甘やかして駄目にしてしまうね、ヴァレリウス」
「もう、とっくに駄目になっていますよ。そういう意味ではね」
本伝第六十六巻「黒太子の秘密」第一話「ノスフェラスの嵐」より

はいはい、わかりました。
つぎ〜つぎ〜(笑)



「あなたはもう、私が万一にもこの薬のなかになにか、よからぬものを入れるかもしれぬ、などということは、夢にも警戒さえなさらなくなってしまったのだなと――なんて無警戒に、何の疑いもなく私の手から薬をおあがりになるのかと思ったら、ついついこみあげてきてしまったんですよ」
本伝第六十六巻「黒太子の秘密」第一話「ノスフェラスの嵐」より

いや、今から入れても……冗談ですってばぁ。(^^;(^^;
しかし、ヴァレ君も涙もろくなったなぁ……年なんだろうか。



「だがあのグインのためなら、私はおそらく、『お前の力が必要だ、ヴァレリウス』といわれたら、『私にできるかぎりのことをいたしましょう。ただし、私のただひとりのアル・ジュニウス、つまりアルド・ナリスさまにこの身も心もお仕え申上げるのに支障のない範囲で、とは申上げなくてはなりませんが』と答えるでしょうね。即座に、何の迷いもためらいもなく。なぜならあの豹男はおのれの私利私欲のためになど、決して指一本動かすことはないと私は確信できますからね」
本伝第六十六巻「黒太子の秘密」第二話「スカールの秘密」より

ヴァレ君ってグインをかなり買っていたのねぇ……って、そりゃそうか。おまけに魔道師だしね。
しかし、あの三人の中でグインと会ったことがあるのがヴァレ君だけだったというのも凄いなぁ。(^^;



「そういうとこのかたを悲しませるから、日頃はいわないでいますけど、私はあの男が大嫌いですよ。ナリスさまを図々しくも口説いて同盟を結ぼうと申し出にこのマルガまでやってきたとき、うかうかと会わせる手はずをととのえてしまったのは、太子さまのときと同じようにこの私でした。このあとの一生私はそのことをくやむでしょう。そのあと何回、私はこの手であのごろつきを葬り去ってしまおうと思ったかわからない。だが、このかたが、止められたのですよ。もしもイシュトヴァーンに手だしをしたら、もう一生、目通りはかなわないよ、ヴァレリウス――ことばどおり、そう私を脅迫されてね。いまとなってもう、このかたの心を失うが私にとってどういう意味をもつか、知りつくしているこの悪魔のようなかたは、おのれの死刑宣告を運んできたようなものであるあのろくでなしの悪党に、喜んで――すすんで手をさしのべられたのですよ。私からみれば、ちょうどこのかたのいつも秘めていた自殺願望が手頃なきっかけを見つけて飛びついてしまったのだとしか思えない。いまでも私はあの男を憎んでいるし、恨んでもいますよ。子供らしい魅力ですって。天衣無縫ですって。私にいわせればあいつはろくでなしのごろつきですよ――それがすべてです。確かに、魅力的な容姿や態度はしていますよ。ある種の世間知らずの姫君をのぼせあがらせるにはぴったりなようなね。札付きのごろつきの魅力というんですか? だからといって、私の――私のただひとりのアル・ジュニウスと呼んだこのかたまでが、そんな安手の、三文にもならなぬものにひっかかって――そんなことは考えたくもない。だから私は、せいぜい、これはすべてヤーンの思し召しで、あの三文役者はただ、そのでく人形につかわれたにすぎない、とずっと思いこもうとつとめているのです」
本伝第六十六巻「黒太子の秘密」第三話「ヤーンは導く」より

……辛辣な評価かもしれませんが、私もこの台詞このままに――最後の部分なんかは特にですね――思っているので、この部分は奇妙な共感を得ました。こう考えてみると、私がナリスファンになっているのも、ある種ヴァレ君にシンクロしているからかな〜なんて思ったりします。って、これは傲慢ですかね。

でも、言っておきますが、私は別段、グイン世界におけるイシュトが嫌い――アンチイシュトファンというのではないです。外伝の彼は好ましいし、本伝にしても、彼が登場する巻はヤーンよろしく傍観者に徹して面白く読んでいますし。第一、嫌いなキャラがいる小説なんて読んでいて辛いので読まないです。
ただ、ヴァレ君とナリスの運命に絡んでしまったのがねぇ……と思ってしまうわけです。
そんなわけなので、たまにイシュトをぼろくそに言う時もありますが、ヴァレ君ファンの戯れ言と思って許して下さい。(^^;



「いまに見ていらっしゃい。あの男は信頼できませんよ――ああいう男は、いずれ必ずひとを裏切りますよ。あの男は、ひとを裏切ることに何の後悔も罪の意識ももつことができないんです。太子さまがおっしゃったとおり、あの気の毒な不細工な参謀をあれだけ尽くしてもらったのに、その手で無残に切り殺してしまったというではないですか。アムネリス大公だって、いまに用がなくなって利用価値がなくなればおそらく弊履のように捨てられるか、ていよく殺されてしまうか、お払い箱になってしまうかしますよ。そういう男は、そういう男でしかないんです。あなたは、あんまり世間知らずすぎますよ。お姫様。――これまでのお育ちと境遇からすれば無理もないですけれどもね」
本伝第六十六巻「黒太子の秘密」第三話「ヤーンは導く」より

ここで言う「あの男」とはイシュトヴァーンのことです。
しかし、何か予言めいて恐いですね。
でも、ヴァレ君、お願いだから、ナリスをお姫様呼ばわりするのだけは止めてくれないかなぁ……。(^^;



「だってしょうがないじゃないですか」
「私の自分自身なんてもうありやしないんです。私はすべてこのかたの思いのままです。それでもおのれで何が正しくて何がおかしいと感じる心だけはまだ死に絶えてはいませんけれどもね、ありがたいことに。でもそんなもの、いっそ死にたえてしまったほうがよかったんです。そうすれば、このかたが何をいいだそうと何も苦しんだり悩んだりせずにいられる。いっそもっとめしいて、このかたの奴隷になって、いわれるままに動く人形になりはててしまえば楽なんです。自分がいのちをおとすことくらい、一番なんでもないことですからね。――でも、このかたは、そういうでく人形、ただの奴隷ならばいくらでもそのへんにころがっているからこそ――おのれの心を失うことのできないこの私を選ばれたんです。私が苦しめば苦しむほど、私がこのかたのいいなりでさからえない、という証拠をこのかたにつきつけていることになりますからね。このかたは、私がでく人形になれないのにこのかたからはなれられないからこそ、生きているという実感を感じておられるんです」
本伝第六十六巻「黒太子の秘密」第三話「ヤーンは導く」より

この文章を読んで「ううむ、相変わらず病んだるかな〜」なんて思っていたら……。(^^;



「それはまたえらく不健康な関係だな」
「それは俺には、イシュトヴァーンとアリストートスの関係にまさるともおとらぬ――いや、それより数倍不健全なただれた関係に思われるぞ。なおのこと不健全だと思えるのは、イシュトヴァーンもアリストートスもあまり頭がいいとは言えんから、おのれのしていることをわかってはいなかったのだろうが、お前たちはどちらもおのれが何をしているか、よく承知の上でやっているということだ。そんなややこしい気持ちの罠になど、はまりこんで、どうなろうというのだ。イシュトヴァーンがいずれ裏切るだろうということも、たのみにならぬ人間だというこtも承知の上だとナリスはいった。だとしたら、ますますお前たちは……」
「お前たちはただ、二人で心中するための口実をさがしているだけのようなものだと俺には思えるぞ。――もっと正確にいうと、ナリスが死にたがっているのを、お前がまきこまれているのだろうがな」
本伝第六十六巻「黒太子の秘密」第三話「ヤーンは導く」より

きっぱりスカールに言われているし(苦笑)
しかし、この台詞、カメロンが60巻で言った台詞と重なるものがありますね。スカールのほうがこの二人を間近に見ている分、詳細な感想が出るのでしょうか。
「ナリスが死にたがっているのを、お前がまきこまれている」というのは正解だと思いますね。自ら進んで巻き込まれようとしているのは、何ともはや、なのですが……。



「何故、あなたは……ご自分でなんとか生き長らえてグイン将軍にひと目会うまで生きていようとは思われないんです。――これほど、これほどまでに何でも持っておられるのに。誰にでも愛され、誰にでも生きていてほしいと望まれておられるのに。――何故、あなたは、ご自分から……もう長くない、もうじき死んでゆく、そうおのれのいのちをかぎってしまわれるんです。……ことばには、いのちがあるんですよ。あなたのような神に愛されたかたならなおのことだ。そうやってあなたが口にだされたことばのひとつひとつが確実に、あなたのなかに毒の種子をまいてゆく――死の種子をはぐくんでゆく。なぜ、あなたはそんなに不幸な人なんです。なぜ、生きようとは願われないんです。……私がいますのに……あなたがグインに会いたい、それだけの理由でもっと生きていたいとさえ願って下さるなら――ノスフェラスに行きたい、星船をこの目で見たいと願って下さるなら……いつなりと、この私がいのちをかけて……この数ならぬいのちのすべてをかけて、あなたを――ノスフェラスにお連れするためにどんなことでもしますのに。星船をその目で見せてさしあげ――グイン将軍とお会わせするために、わたしなど何千回死んだところでかまいはしないのに。私に甘えてさえ下さりさえすればあなたのどんな我儘でもどんな無茶な望みでも、私はかなえてさしあげるのに――なぜ、私に云って下さらないんです。ヴァレリウス、私はグインに会いたいんだ。私がグインに会えるよう、私を守っておくれ――私をノスフェラスに連れていっておくれ、と――なぜ云って下さらないんです」
本伝第六十六巻「黒太子の秘密」第三話「ヤーンは導く」より

「それはね、ナリスがナリスだからだよ」と思うのですけど……それを言っちゃあ、あまりにも酷かな?(^^;
でも、言いたくなる気持ちは判りますねぇ。だってナリスは既に諦めているし……3巻の冒頭の言葉を見てもナリスの名がないので、ナリスはこの先――とは思うのですが、夢ぐらいは見たいです。



ナリスがスカールにリギアのことを頼んだ後に――

「ヴァレリウスは……以前、リギアを愛していたので……この話は、ヴァレリウスの前ではしたくなかたのです」
「私は――思えばなんとたくさんのものを彼から奪ってしまったことだろう。――恋も、友達も、仲間も、未来も――そしてついには、そのいのちまでも。――これは妄執でしょうか、スカール? 私の妄執が、彼までもまきこんでほろぼしてしまったのでしょうか?」
「あの男は、おのれの意志でなく何かにまきこまれるようなやつではないさ」
本伝第六十六巻「黒太子の秘密」第三話「ヤーンは導く」より

うううっ(涙)
私が66巻で一番泣きそうになったのは、実はこの台詞です。(/_;)
本当に「今になってそんなことを言わないでよ〜」なんて思ってしまいます。あと「これって詐欺だよな〜」とかも思ったりして。
しかも、わざわざヴァレ君がいない場で言う辺り……「君は本当にナリスかい?」なんて問い掛けたくなりました。いや、本当に。
でもって「妄執」……んなわけないです。スカールの言葉が正しいです、はい(涙)



「気の毒に」
「なぜ、そんなにまであの魔物に魅入られてしまったのだ。――お前はもっと、ひょうきんな、だがなかなかよくできた男だったはずなのに」
「わかりません。いかなるヤーンのはからいか、いかなる星のもとに見込まれたのか、私にもわかりません。でも私は――私はもうだめです。私はあのかたの毒が全身にまわってしまった、あわれな道化です」
本伝第六十六巻「黒太子の秘密」第四話「凶行」より

いやはや、この台詞を読んで「いかなる作者さまのはからいか、いかなるナリスものとに見込まれたのか」なんてフリガナを振ってしまいました。(作者さま、暴言多謝。(__;) でも、ナリスのほうは暴言じゃないと思うからいいや)
でも、ヴァレ君、君は道化じゃないよぉ……。



「スカールさまからもそうして、お助けいただけるというおことばをきいたからには――私が何があろうとも、あのかたをお救いしてみせますよ。そして、必ず――あのとき死ななくてよなったと……生き長らえてよかった、ということばをあのかたの唇から吐かせてみせます。いや、だが……そういうことばのはしから、あのかたとともに死に絶える幸せ、をうっとりと思い描いてみたりする――私はもう、すっかり気がふれてしまったようです。あのかたの毒こそ、グル・ヌーの毒よりももっと強烈ですね」
「それでもお前は正気を失うわけにはゆかん、というわけなのだな。それこそ、気の毒なことだ」
本伝第六十六巻「黒太子の秘密」第四話「凶行」より

本当に気の毒なことで……(涙)



「あのかたを好もしい女性、まぶしい大輪の花とみとれていたのも、なんだかもう、カナン帝国の昔のできごとのような気さえしますよ。いまはもう、私の目にはただひとりの姫、あだひとりのユーフェミアの花しかうつりません。――それでも私の心はかつて愛したひとにはすべてから忠実です。あのかたが末長らくお幸せで、おすこやかであればいいと、それだけ念じています」
本伝第六十六巻「黒太子の秘密」第四話「凶行」より

だから、ナリスをお姫さま呼ばわりするのだけは……というのは置いておいて。
この台詞の前に、一瞬だけ間があったんですけど、それも振りきってしまいましたからねぇ……ほろほろほろ(涙)
悲しいなぁ、辛いなぁ。この台詞、スカールがリギアに伝えるんですよねぇ、きっと(涙)



(何があっても――たとえあなたがおいやだとおっしゃってもお連れしますよ。そしてあなたに生きていてよかった、お前のおかげだ、ヴァレリウス、といわせてみせます。その口から――私にも、スカールさまのおかげであらたな夢が――生きる希望が生まれたのかもしれません。こうなった以上、私も――私も反乱を成功させるしかないんです。たとえ、どんなことがあっても)
本伝第六十六巻「黒太子の秘密」第四話「凶行」より

反乱が仮に成功したとしても、イシュトが登場したら、それだけで全てが無に返すような気はしなくはないですが、さてはて、どうなるのでしょうか。個人的にはイシュトが登場してぶち壊しになるよりは……と思ってしまうのですが、どんなものでしょうか。
それに、仮に相手が「ヤ」の方でも、3巻の冒頭の文章がなければ、まだ楽観視出来るのですけれど。あくまでもレムスが中興の祖ですからねぇ……。



「帰ってきたのだ。――カリナエに。喜べ、ドールの犬ども――吠えるがいい、ヤーンの馬車をひく山羊どもよ。いよいよ運命のはじまりだ。クリスタル大公がクリスタルに戻ったのだ――まもなく、さいごの宴がはじまるぞ……」
本伝第六十六巻「黒太子の秘密」第四話「凶行」より

ヴァレ君とは関係ないのですが、ついつい入れてしまいました。
う〜ん、格好いいなぁ。



突如現われたヴァレリウスに向かってマール公曰く――
「ヴァレリウスか。それでは、やはり、うわさは本当だったのだな」
本伝第七十巻「豹頭王の誕生」第二話「謀犯のルノリア」より

何故かしら、本伝48巻の場面を思い出してしまいました。
妙に可笑しいというか、ざまぁみやがれというか……何なんでしょうかね。優越感なのかなぁ。(^^;



カラヴィアのラン曰く――

「いま、あの人がどれほどナリスさまに忠誠を誓っているかは、あの人のナリスさまを見る目を見ればわかります」
本伝第七十巻「豹頭王の誕生」第二話「謀犯のルノリア」より

ここでの「あの人」とは勿論ヴァレ君のことです。
でも、そうか……目を見て判るのかぁ……それじゃあ、他の人も判るのかしらん……と思いつつ。
私がランの立場だったら「絶対に許すもんか」と思ってしまうんですけどね。まあ、裏で糸を引いているのがナリスなわけですが。
さて、ヌヌスはどうする?



「やっぱり、ときたま、あなたを殺したくなりますよ」
「どうしてあのとき殺してしまわなかったのだろう、いっそ先日の毒をゾルーガの毒にいれかえておけば――またしても、そう思わされる。あなたは……やっぱりあなたは悪魔だ。でももう何も申しません。いまさらそんなことを、くりごとをいったところで――私はもう決して、あなたからはなれることも、あなたに手をかけることもできないのだから。……でも、ときたま、殺したいほどあなたが憎い――というより、あなたの呪縛から逃れるためには、殺すか、それともいっそあなたを――と思い詰めていた、あのころの狂おしさがまざまざとよみがえってくるのを感じます。何もおっしゃらないほうがいいですよお、ナリスさま。何かおっしゃると、殺してしまいたくなりますからね」
本伝第七十巻「豹頭王の誕生」第二話「謀犯のルノリア」より

ええ、私も同じく思いました(きっぱり)。(^_^;



「あなたは、あの青年とはずいぶんうまがあっておられるのですね。――あの陰気くさい学者先生とおいでのときのほうが、ずっと楽しそうで――それに、素直で……私の好きな、私がめったに見られない本当のナリスさまでおられるように思いますよ。あなたは……もしかすると、本当はあの青年のような生き方がなさりたかったのかもしれませんね……」
「それにあの青年を本当に信頼しておられるのですね。――さっき馬鹿なことをおしゃっていましたが、私が嫉妬するとしたら、それこそあの青年のほうですよ。あの青年には、あなたは一切手練主管どころか、嘘ひとつおつきにならない」
本伝第七十巻「豹頭王の誕生」第三話「茶の月、ルアーの日」より

そう言えば、ヴァレ君とヨナって接点がありそうでないんですよね。同じくリヤ大臣に引き取られても、すれ違っていましたし。
一回、この二人の学問についての会話も見てみたかったです。



「あのかたはまあ、もともとべつだん地位に恋々となさるというタイプではないですから、宰相の地位のことですっかり気分を害してしまったのも、宰相になれなかったからというよりは、信頼していた部下の私にだまされた、してやられたという悔しさのほうが大きかったのだと思いますがね」
本伝第七十巻「豹頭王の誕生」第三話「茶の月、ルアーの日」より

私もそう思いますです。はい。(過大評価じゃないよねっ)



「もう、私たちはこんなこころみに乗り出してしまった。何人の人に心を打ち明け、血判もおさせてしまった。もう、あともどりはできないんです。もう、何もなかったことには、白紙には決して戻せないところまで――無理やりカリナエに戻ってくることで、私たちはもう反逆のこころみに出発してしまったんですよ。もうあとは、とことんゆきつくところにゆきつくしかない。いまはもう、グインを味方につけるよりも本当は、決起の最終的な計画と日時を決定してしまうことしかないはずなんですよ、私たちには」
本伝第七十巻「豹頭王の誕生」第三話「茶の月、ルアーの日」より

まだ、この段階になって、正確な日時――はともかく、計画もまとまっていなかったんですねぇ。う〜ん。
まあ、2人ともそれぞれ頭の中でどう実行するかは考えていたでしょうし、日時にしても、とにかくナリスをクリスタルへ戻すことが最優先でしたから、今になって言うのもおかしくはないですが、やはり皆が集まる前に決めておいたほうがよかったんじゃないかな、と思ったりします。
まあ、それはさて起き、もう、後戻りは出来ない段階にきているんですよね。動き出したら止まらない――まるで坂道を転がり落ちるように止まらない――止まるとしたら、ドールの底に落ちた時――と思ったりしています。
ここまできたら、誰かが止めてくれることは期待も希望もしませんね、はい。



「あなたの身を守るためなら、私はおのれの親でも殺しますとお誓い申上げたでしょう。私は嘘はつきませんよ。あなたと違って」
本伝第七十巻「豹頭王の誕生」第三話「茶の月、ルアーの日」より

まあ、この前の台詞も入れようと思ったのですが、取り敢えずはこれだけです。前の台詞もいれたほうが深みが増すのですけれど、それだとあまりにも膨大になりますからね。(何を今更。^^;;)

しかし、このヴァレ君マジですねぇ。
いや、いつも真面目ですが、この台詞は特にです。
でも、冷酷非情がよく似合うヴァレ君にはなってほしくないですね……もう、無理なのかもしれませんが(涙)
(いや、時には冷酷にも非情にもなるでしょうけれど、似合う似合わないの問題になると、似合わないかな……と)



「ヴァシャの実を食べるなら種ごと、などと思っているわけではないですよ」
「ただ、私はものごとを中途半端にする傾向はないんです。それに、成功しないわけにはゆきません。この反乱には、あなたと私の命と――そして中原の未来がかかっているんですから。私は全知全能をふりしぼって、この反乱を成功させてみせますよ。そしてあなたに――御自分の死の夢ばかり見ているあなたに、『ヴァレリウス、お前が正しかった。生きているほうがいいことだね』と云わせてみせますよ。この反乱が成功におわり、そしてあなたがパロの聖王の玉座にのぼったそのあかつきに」
本伝第七十巻「豹頭王の誕生」第三話「茶の月、ルアーの日」より

こういう台詞を聞けば聞くほど、この反乱の成功率の低さを感じてしまいます。うううっ。(/_;)



「とうとう、ここまできてしまいましたね」
「いよいよ、はじまりだ。――御心配なさらないで下さい。私は決して、あなたをただの謀反人になど、させやしませんから」
本伝第七十巻「豹頭王の誕生」第三話「茶の月、ルアーの日」より

思わず「ただの?」と突っ込んでしまったのは私です。(^^;
こんないい場面なのに、なんてことを考えているんでしょうかねぇ。

 

  ―8―  

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